儲かる農業?稼げる農業?

農業を儲かるようにするにはどうすればいいか日々考えているYONESATAの佐多です。そんな時に「稼げる農業」と言うも文字が目に入り戸惑い驚いています。

「儲かる」と「稼ぐ」は同じような言葉だと思っていましたが「稼いでも儲からない」と言うように「儲かる」と「稼ぐ」は全く違った意味を持っているような気もします。辞書で調べてみても体を動かさないでお金を得たら「儲かる」で、体を動かしてお金を得たら「稼ぐ」と言っているような?言わないような?おバカな自分にはよく分かりません。

数字や頭をグワングワン働かして儲かったり稼いだりするのと頭の中まで筋肉にしてゴリゴリと体を動かして儲かったり稼いだりすると何が違うのかよく分かりません。自分は儲かろうが稼ごうが働いてお金を得て食べて「生きて」いければどうでもいいと思います。ただ「稼ぐ」と言うと汗水ながして働いて奇麗なお金のようなイメージはするので「稼ぐ農業」はとてもいい響きだと思います。

今まで農業を儲かるようにしましょうと言うと農業は儲からなくてもいいのでは?と農業界の中の人からも外の人からも言われることがあります。儲かるとは人によって定義がまちまちで1円でも黒字になれば儲かると言う人もいれば、1億ぐらい黒字じゃないと儲からない言う人もいます。定義が曖昧なのだと思います。農業は儲からなくていいと断言する方の中には農業従事者の生活費のことを考えていない人もいました。そのような方に農業で稼ぎましょうと言えば全然違った答えが返ってきたかもしれません。稼ぐにしろ儲かるにしろ農業者が農業を続けていくためには生活するための最低限のお金が必要です。農業は儲からなくていいと断言するには農業以外の収入(補助金や年金、家賃収入)が必要だと思います。それでは自立した農業を継続的には行えません。

現在、見知らぬ土地で新規就農して稼ごうが儲かろうが生きていくお金を農業生産で得るのはホントーに難しいです。なぜなら地方の農村は若い人が少なく経済活動が活発行えない状態だからです。それでも経済活動が滞っている農村部に都心からお金の運んでくることができる農業を自分は都会から外貨を稼いでくる一番いい方法だと思っています。受動的に生きていればお金は減る一方ですが能動的に生きていけばお金が行ったり来たりします。そうすれば地方経済は活性化するのではないでしょうか。

地方を活性化するためには地方の人が「仕事をしてお金を得て食べて生きていく」これだけでいいと思います。誰かに?言われたことをこなしてお金をもらって生きているだけでは衰退するだけです。同じく農業も受動的に動くのではなく能動的に動けるようにすれば稼げたり儲かったりして活性化すると思います。

今回色々議論していた中で気付いたことは農家の中では旦那は稼ぎたく、嫁は儲かりたいということが見えてきました。以前も書きましたが農業を始めようとすると新規就農するための色々な書類に判子を押す場面に遭遇します。そのような時は家族に相談することでしょう。もし養う方がおられる場合判子を押す前に「稼ぐ」と「儲かる」について話し合ってみてはいかがでしょうか?同じようで全然違う思いの掛け違いがあるかもしれません。

自分としては今からの農業は家族経営だろうが法人経営だろうが組織的に活動していくべきだと考えています。そのためには組織を維持するための最低限の「儲け」は必要だと思います。また、もし養う家族がいる方は養うだけの「儲け」も必要だと思います。稼いで儲かる農業が理想だと思いました。

 

それではそろそろトマトを収穫して稼いできます。

山口県の農業を良くするために

 

最近ネガティブだったので今日はポジチィブに行こうと考えているYONESATAの佐多です。昔話としてレンコン御殿やトマト御殿、イチゴ御殿が建った等の景気のいい話を聞きますが最近の話としてはめったに聞くことはありません。そこで、山口県の農業をよくして御殿話を復活するにはどうすればいいか考えてみたいと思います。

「新規農業者にはここが足りない」と助言を受ける場合、農業界の外にいる人と中にいる人では違う傾向があると感じています。外の人は売り方、デザイン、セルフプロデュース等の消費者サイドへの「見せ方」を重視する傾向があり。中の人は最新技術、経験、計画性等の「栽培」に関することが多いと思います。この傾向は外にいる人は栽培を簡単と感じ、中の人は難しいと感じているところの差から来ているのではないでしょうか。このことについては「農業従事者」がもっと情報発信をするべきだと感じているところです。

では「見せ方」と「栽培」どちらが重要かと言われれば、両方必要と断言できます。あとはバランスだと考えています。一人の能力が100だとすると能力が突然上って200になることは無いので「見せ方」と「栽培」の比率を30:70にするか70:30にするかまたまた0:100にするかです。100:100にすることはとても難しいと思います。

実際の現場では、よしこれからは「見せ方」が大切な時代だと感じた農家が今まで0:100でやっていたものを30:70にしようとした場合、100で作っていたものが70の品物になってしまいます。それでは商売としてはきついです。見た目はどうでもいいと言うお客様も多いのですが70の商品より100の商品の方が商売はしやすのが現実です。実際に「見せ方」のプロのスーパー等は100パーセントで作られた物を扱います。

ヨシ!それなら少しづつ「見せ方」を勉強して1:100→2:100・・・としようした時に「栽培」の勉強が怠れば100→99→98と少しづつ落ちていきます。遠目では農業技術は変化がないように見えると思いますが植物にとっては凄いスピードで変化しています。全力で栽培技術を勉強していても追いつかず何時も農業コンサルタントに相談しています。

そこで個々の能力を100、101、102と高めていける人材教育が重要になって来ると感じています。個別で能力を高めるには先ほど述べたようにこっちを立てればあっちが立たずの状態になってしまいますが効率よく成長できるプラットフォームのような物を農業者自身の手で作れるような環境があれば効率よく成長していけるのではないでしょうか。農業者自身が「組織」力を身に付ける環境があればいいと思います。個々の能力が100だとしても二人集まれば100+100で200にあっという間になります。勿論夫婦で力を合わせれば200どころか300にも400にもなります。

紆余曲折をありましたが何とか農業一筋でやってきて結局のところ「人材」がキーワードになると思います。農業を始めたころは新規就農者も周りに少なかったですが青年就農支援金制度が出来てからどんどん若い人が増えてきました。ついこの前までは農業界では自分は若いと思っていたのですが今ではおじいちゃんと化しています。若い力は農業界には絶対必要です。若い人の能力を100%発揮してもらいさらに少しづつ成長できる環境がこれからは必要になるでしょう。農業界には「見せ方」力や「栽培」力はたまた「販売」力より「人材育成」力と「組織」力が重要です。人材育成と組織が上手にできれば御殿どころか国が建つぐらい農業は面白いものになると思います。

 

 

 

面白い農業?楽しい農業?

世界一面白い農業法人を目指しているYONESATAの佐多です。世界一面白い農業をしようと思い立ったのはいいのですが一つ大きな問題にぶち当たりました。それは、「面白い農業」、「楽しい農業」とはどういうものなのか分からないのです。役員会議の議題にしても「儲かる農業」でもない「楽な農業」でもないと堂々巡りするばかりで「面白い農業」とはどんなものか分からないことに気づきました。議論した結果少し見えてきたことは「作るのは楽しいが収穫して売るのは興味がない」「儲かる作物と言われている物だけを沢山作るより色々な物を作る方が楽しい」というぐらいで決定的な答えが出てきません。これには困りました。

そこで、スタッフの皆さんにも「面白い農業」とはと質問してみたところ「美味しいものが食べられる」、「伝統野菜が作れる」等の答えが返ってきましたがこれではピンときません。そんな時に新人さんが一言「今も十分楽しい」という答えが返ってきました。これだ!と直観的に感じました。人間が毎日必要としている食べ物というものを作っているのに消費者から遠くなってしまった農業。そんな消費者サイドからはブラックボックスと化したよく分からない農業というと現場で働き、自分で収穫したものを食べて、昼休みにはゲームやサーフィン、釣り、お子さんの進学問題や学校の話などを話して皆でゲラゲラ笑ったりする空間。働いて食べて寝るという当たり前の生活そのものがすでに「面白い農業」のようです。

現代社会は食事や洗濯などの生活に身近なものまでも外注するようになっています。それでも農業をしていると自分の食べる物を作るという当たり前のようで当たり前で無くなってしまったことをすることは面白いことだったみたいです。これで世界一面白い農業の定義が決まりました。世界一面白い農業とは自分の食べたい物を作って食べて普通に生活する。これが究極の面白い農業になると思いました。

今の時代、周りから儲かると言われる作物を作っても儲かるとは少ないと思います。周りから言われて作ってしまい儲からなかったらそれこそ面白くありません。他人から言われて作って儲からなかったとしても他人の責任にはできず自己責任です。それなら最初から自分の直観を信じて食べたい物を作って失敗したほうが納得いきます。

農家は売るものと自分で食べるものを別々に作ると聞いたことはありませんか。そんな農業は全く面白いと思いません。自分が食べたい物を作りそれを皆に食べてもらうそんな農業の方が面白いと思います。これからも世界一面白い農業法人を目指して「面白い農業」を突き詰めていきたいと思います。

恐怖の農業補助金。農業系の補助金を使う場合は命がけ。山口県バージョン

どうも山口県の農事組合法人YONESATAの佐多です。新規就農しながら10年以上農業してきた立場から農業系補助金について色々ありましたので記事にしたいと思います。初めに申しますと食料生産は誰かに言われてやっているのではなく自分でしたくてやっているという前提で話を進めていきます。この辺りのご理解をよろしくお願いいたします。

 

今日は恐怖の補助金について思うところ書いていきます。

 

一般的には「農業は補助金で守られていていいよね~」と感じると思いますがそういう面も確かにあります。私の両親が人生を立て直すため、新規就農をするさいの家賃補助や研修時期の研修費補助はとても助かりました。納税していただいた方々には今この文章を書いているときに涙で前が見えないぐらい感謝しています。本当にありがとうございました。

 

ただ既存の農業???(10年やっても自分が農家なのかな?)の形を守るためにある補助金いついてはどうも理解できないところがいくつかあります。最近、新規営業の農業資材屋さんの方とお話しをさせていただいた時、自分と同じ意見でしたので紹介したいと思います。

農業機械等は流行りの物に補助金が出やすいようになっているというところがあります。よく話題に上るのが支払い総額の半額を補助金で出す補助制度です。これを利用して○○メーカーは100万円の機械をメーカー小売り希望価格を200万にして農家の支払い額が100万円、補助金が100万円となってしてしまうケースです。ここまでひどくないですが補助金を出す規定で新品にしか出ないようになっており補助金を利用する場合はメーカー希望小売価格で取引することになります。このため農家にとって割高に感じてしまうことがありメリットがあるのかないのか分からない場面をたびたび目にします。時には既存の農家が補助金制度と共にメーカーに新規就農者を紹介して何かしらの特典をゲットしていたりしいている人もいます。このようなことをしない販売店の方が多いので自分はそちらから購入にします。ネットなどを利用して新古品等を購入したりすれば支払い総額が安くなる場合もあります。

 

何を言いたいかというと農業系の補助金は今までの農業を続けるにはとても有益ですが新規で始めるためにはあまり適さない場合があるということです。

 

ここからが本番になります。今なぜ新規就農者に補助金が出るのか考えたことがありますか。めったにないのですが新規就農の研修生がいないと作業進まず経営が成り立たない農家、新規就農者がいないと隣の畑が荒れて自分の畑がダメになる等の理由で新規就農者に補助金が出ているのではないかと疑いたくなる場合があります。これは「オカミ」の方の発言ですが国からの助言?で新規就農者を増やさないといけないので無理やり新規就農者を増やしても仕方なかったと言われたことがあります。新規就農者の生活なんを考える余裕はないということでしょう。確かに忙しそうですし仕方ないですね。今の農業はそのぐらい荒れてます。

 

前回紹介したのですが新規就農者が農業を始める場合は農家しか農地を借りることができないので農家になりつつ農地を借るという手順を踏みます。農業委員会に計画書を提出し農家になり農業を始めるのですがお試し栽培ができないため自分が借りた土地が自分で作った営農計画書に適するか適さないかやってみないと分からないのです(新規就農した農家と言いう立場の自分から見ると無謀かなと助言しても新規集者の自分の意見なんか誰も聞きませんよね)。ここで問題になるのが補助金です。補助金は大抵「足つき」と言われ農業を何年以上続けないと返さないといない等の条件が付いてきます。これは当たり前ですし補助金が出ている以上自分も納税者ですので有効に使っていただきたいと思います。しかし、今回問題なのは「足つき」ではなかった補助金についてです。青年就農給付金は市?や県?の説明では元々農業をやめても返還義務の無い補助金だと説明されていました。新規就農者はいきなり始めるというリスク等があるため(青年就農給付金と言われる補助金ができる前は就農1年で8割の人が農業は経営的に厳しいという記事を読んだような無いような)青年就農給付金は「足つき」は無く仮に農業が継続できなくても返還義務は無いと説明を受けました。しかし給付期間終了後方針が変更になり最初に決められていた提出書類以上の物を提出しないと返還の可能性があるとなったのです。(ここは推測ですが給付金をもらっても農業を続けていけない人がいる等の噂を聞いたことがありますのでそのようなことが理由ではないかと推測しています。)

 

このように農業系の補助金は「返還になる可能性の条件」が変更になる場合があり、提出する書類は独特な部分があり(行政から見たら当たり前かもしれませんが、以前京セラの稲盛さんの著書の中に帳簿は使い方によって幾つもあると読んだことがありますがその時読んだ感想として農政に提出するものはかなり独特ではないかと感じました。)本気で農業で食べていこうと思えば思うほど(補助金に頼らずに)このような「独特」な(補助金を売り上げにしろとか雑収入にしろとかコロコロ変わる等)事務処理を真面目にやることになります。そして農作業が追いつかず売り上げが落ちて死活問題になった場合でも自己責任です。(現在岩国市では本来提出義務がなかった書類も含め会計検査のための事務処理に追われかなりの痛手です)。

 

さらに返還義務がある補助金の場合は農業が経営困難で辞めざる負えない場合でも借金をしてでも返還しないといけないそうです。そのようになった場合、行政は借金をできるところの紹介等の支援しはできるが立て直しをするための技術や経営等の相談にはできないようになっているようです。初めに書きましたが経営を始めたのは本人だからです。農業が上手くいかずどんなに赤字になろうが補助金を返還できなければ辞められないのです。給付条件が給付終了後に変わってもです。下手すると一生の可能性もあります。これがものすごく補助金の怖い側面です。どんなに赤字になろうがお金を持っていない限り借金してでも継続しないといけなくたってしまう場合があるのです。これは真面目な人ほど陥りやすいです。

 

就農して補助金等を受給する場合、自分で決定したとする誓約書や個人情報開示の書類など判子を押す書類などがあったと思います。補助金を活用して新規就農すること自体とてもいいことだと思いますし農業を盛り上げるためには一部は必要です。しかし、家族や行政、勿論自分の理解なしに判子を押すことは無謀です。今から農業を始めようとされる方は是非自分とは違った意見の方に1分でもいいので耳を傾けてください。私の経験ではこれができないために泥ぬまにはまる人が多いいです。農業を始める時は夢が膨らんでいると思いますが自分に不都合なことに1分×10人も聞ければ大抵上手くいくと思います。私が言いたいのは「補助金と借金をする時は慎重に」だけですので1分もかからないと思います。

 

 

 

食の安全上、少しは農業の補助金は必要だと思います。ただ一部の農業者が苦しむ補助金制度は見直してはどうでしょうか。真面目に農業に取り組めば取り組むほど苦しむ制度は必要なのでしょうか。消費者のためになっているのでしょうか?

日本の農業がもむやみに補助金に頼らず。農業従事が生産品を食べていただける方々に信頼してもらえるよう、これからも頑張っていきたいと思います。

 

 

山口県産の野菜は一期一会

 

山口県で農業をやっているYONESATAの佐多です。

 

野菜は一期一会と言っても一体何のことを言っているのか分からないと思います。みなさんどうでしょうか?

 

昨今の流通技術や保存技術、栽培技術の向上で一年中同じような野菜がスーパーや八百屋さんに並んでいます。先日、山口県のスーパーに新鮮な沖縄県産のトマトが並んでいてビックリしました。新鮮さはヘタと色味で分かりますのでぜひチャックしてみてください。真っ赤なトマトは美味しそうですがあまりにも赤すぎるのはお勧めできません。

 

このように毎日同じような野菜がすぐに手に入ると野菜との出会いを一期一会と感じることは無いと思います。どれも同じ野菜に見えていると思いますが、生産者の立場から見ると全く違ったように見えてきます。今までに何億何十億個と天文学的数のトマトを見届けてきましたが今までに何一つと同じ物は無いということに気づくのです。人間と同じように今まさに目の前にある野菜たちはそれぞれに個性がありどれ一つ同じ物は無いのです。

 

野菜は工業製品と違って同じ物を作るのがとても難しいと思います。日に日に成長していく野菜たちはその瞬間、瞬間で違うものになっていきます。特に雨が降ると全く違うものになったりします。その他にも気温や日照時間、風、気圧など外的要因によって元気になったり、風邪を引いたり。時には重病の病気にかかって枯れてしまったり、大きくなりすぎて骨折してしまったりと毎日色々なことが畑ではおきています。今日はいい物が収穫でき~と思ったら次の日にはダメになったりの繰り返しです。

 

どんなに技術が向上しても日本には四季があり野菜には旬というものがあります。野菜の価格は収穫量によって変動しますので旬の時期は収穫量が多く値段も手ごろになっていますしまた、旬の時期が過ぎ較収量が少ない時は値段は高くなると思います。勿論旬の時期の方が味もよく品質もとてもいいですが人間心理とは面白いもので無いものが欲しいのくなるようですが旬の時期を逃した質品質はそこそこの野菜を販売するのはとても気が引けますのでぜひ旬の時期に食べてみてください。

 

以前食べたのが美味しかったのでまた同じ物をくださいとお客様に言われることがありますが申し上げにくいのですが同じ物は無いのです。いつも自分の作っている野菜を食べていると刻々と味は変化していきます。畑の場所や栽培法、野菜の品種よりその時期による味の変化の方が大きいと思っています。今まさにそこにある旬の美味しい野菜はその日にお嫁に行ってしまいます。明日にはまた違った新人さんが収穫されてくるのです。その瞬間の野菜との出会いを一期一会と思って楽しんでいただければ幸いです。

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山口県にて1秒で農家になる方法

結論から言うと法律で決まっていて日本では1秒では農家にはなれません。ですが農家にスムーズになるためのポイントは幾つかあります。

 

農家の後を継ぐのが近道?

農家になると言っても実家などが農家で農家になる場合と非農家が農家になるのでは全然違うものになります。農家の跡取りが農家になるのは比較的簡単です。これが一番簡単にに農家になる方法です。

 

非農家が農家になる場合は少し難しくなりますのでこれから考えてみたいと思います。

 

行政の方針に従った必要最小限の経営計画を作る。

農家の統計上の定義は経営耕作面積が10a以上の農業を営む世帯または農産物販売金額が年間15万円以上ある世帯(農林水産省のHPより)。ざっくり言うとある程度の農地を耕していて、ある程度売り上げがあれば農家になります。農家になるには農地と売り上げが必要ということです。

 

そこで問題となるのが農地です。農地は農家しか買うことは勿論、借りることもできないと農地法という法律で決められています。農家になるには農地が必要で農地は農家しか借りられない、、、かなり矛盾しているような気がしませんか。実家が農家の場合は親の土地などを借りられるので問題ないのですが非農家の場合この矛盾がとてつもない問題になってきます。

 

この問題を解決し非農家が農家の仲間入りを果たすには農業委員会に「経営計画」を提出して認められる必要があります。農業委員会は経営面積、栽培技術、資本設備、従事日数、居住地などを参考に審査していきます。ここで問題は新規就農して儲かるかとか農家として生活できるかとかが判断基準ではなく、農地が奇麗に使われるかを見ているということです。すなわち新規就農者を見ているのではなく、農地がどのようい使われているかを重点的に見ているのです。

 

新規就農がしたいことを経営計画に書いても上手く話が進みません。そこで、県や市町村ごとに推進する営農モデルがあります、それに沿った就農計画を作ればスムーズに話が進むことになります。非農家が農家になるためのポイントです。

 

農家になってから方向性を修正できる余裕を持っておく。

行政の方針に従った経営計画では自分のしたいこととギャップがあります。しかし非農家が農家になる場合、実際に農地を借りて試験運用が出来ない仕組みになっていますので最初は必要最小限に行政の方針に従った経営計画を作るほうがいいと思います。就農し農家というものがどんなものかを理解した後に方向性を修正できる余裕を持っておけば自分のしたい農業に近づけていける思います。最初から最大限に借金して始めないのが最大のポイントです。

非農家の新規就農者は使われていない農地を使うことになる場合が多いと思います。どんな特性があってどのような作物や農法が向いている分からない状態でめいいっぱいの経営計画を作っても上手くいくはずがありません。経営計画は絶対に守らないといけないわけではないですし(というより守れない、台風が来て作業が計画道理進まない、資金難で機械を導入できない、病害虫が出て思ったように収入が無いなどざらです)、後で修正もできます。最近は6次産業化を国が推進していますので農家レストランや農家民宿なども含めたかなり幅広い計画書も作れますが夢は控えめにして必要最小限にとどめてください。ここで失敗した人を沢山見てきていますのでどうかお願いします。

 

 まとめ

以上の三点が農家になるときのポイントだと思います。新規就農者が農家になる場合、農業委員会は農地を見ている点に注目して行政に従った経営計画を作り認めてもらえれば農家になれます。就農後、自分の方向性を模索していけばいいと思います。

山口県立農業大学校とは

どうも山口県の農事組合法人YONESATAの佐多です。今回は農業大学校を紹介したいと思います。自分は行っていないので詳しくは分かりませんが聞いた話をまとめてみました。

農業大学校は全寮生で二年間8時から17時までみっちり農業の実務を経験できるところです。山口県では野菜、花、酪農の3コースの中から各自自由に選び受講します。栽培から販売までを経験でき卒業すると短大卒業になります。学費は寮費だけですのでとても負担が軽いのも特徴だと思います。この他にも月一回の社会人コースなどもあるようです。

 

山口県立農業大学校に行くことのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。

メリット

  • 横の繋がりできる。

同級生と一緒に作業するので農業仲間ができるのはいいことだと思います。大きな法人で働く場合を除いてこのような経験ができる場所は農業大学校ぐらいだと思います。

  • 山口県内の農家と知り合うことができる。

卒業生や講師の農家など実際に農業に従事している方と繋がりを持てるのはいいことだと思います。リアルな作業現場などはなかなか見れないので貴重な経験になると思います。

  • パートナーを見つけやすい環境

農業大学校には農業に興味のある若い人が集まってきますのでパートナーを見つけるにはいい環境だと思います。知り合いの農家も農大で知り合い結婚されたそうです。特に農業で独立される方は大切なことでしょう。

 

 

デメリット

  • 演習圃場が小さいので実際の現場とギャップがある。

これは独立された方を周りから見ていると感じます。現場では農業大学校でしていた作業量とは比べ物にならない量をこなさないといけないのでついてしまった癖を取るのに時間がかかる場合があります。

  • 二年間という時間

二年が長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれですが個人的な感想からすると長いように感じます。卒業すれば短大卒扱いになるものの農業は資格があまりいらない職業ですし海外では農業経営者は修士、博士が当たり前いと言われる時代にしては中途半端になっていると感じます。

  • 楽しい寮生活が待っている。

全寮生ですのでとても楽しい生活が待ってます。(これはメリットでもあります)

 

色々書きましたが自分は農業大学校に行かないで独立しましたので気合があれば行っても行かなくてもいいと思っています。しかし、農業に興味があり弊社に面接こられる方には山口県立農業大学校に行った方がいいと感じる人の方が多いのも事実です。最近では農業法人に就職する場合が多いと思いますのでその場合は行っておけば就職がスムーズにできるかもしれません。最後に個人的な本音を言えば農業で独立を考えている場合は自分の理想の農家や法人に2年間住込みで働いた方がいい経験が積めると思います。

山口県で農家になる前に。

農業を始めようとする人が始める前に勘違いや思い違いがあるなと思うものをまとめてみました。あくまで自分の感想ですのでこんなこともあるのかと読み流していただければ幸いです。

 

1遊休農地や耕作放棄地が沢山あるので農地を見つけるのは簡単だと思っている。

使われていない農地は狭かったり水がなかったりそれなりの土地です。そのような農地ですら地元の人以外に貸したくないのが本音だと思います。地主さんの気持ちもわかります。

使いやすくお金になる農地は奪い合いです。ひよっこ農家がその競争には勝てません。農地を探すなら少しでも地元の繋がりがあるか研修先の農家に相談できないときつい思います。

 

2生産物は市場に出せば「せられ」お金に変わり生活できると思いこんでいる。

産直市や直接取引が増えてきれますので市場の役割は変わってきていると思います。特に地方の小さい市場はでは一般に思い浮かべる「せり」は無くなってきています。お店が少なくなってきていますので「せり」になりません。市場は地元のスーパーに卸すための手続きをするだけのようなところになってます。

最近は売り先のこと意識した新規就農者を増えてきているのでこのことを感じることは少なくなってきました。ただ、「いい物」を作って「営業」に行けばいいというわけにはいきません。農産物は意外と価格競争が激しいです。

 

3農業機械や施設は買うお金に注目して維持費のことを考えない。

農業機械や施設はとても高価です。取得するのに集中しすぎて維持費のことが頭に入らいことが多いと思います。高価な農業機械は修理用の部品も高価になります。維持費も覚悟して機械や施設は導入してください。ですが、一度機械を導入したら中毒になるぐらい楽です。頑張って導入する価値は十分にあると思います。体が大切です。

 

4農産物はマニュアル通りに作れば上手にできると思っている。

これはやってみればすぐに気づくので問題ないと思います。毎年色々なことが起きるので面白いです。

 

5高品質な物を作り高級品として高く売れば儲かると思っている。

実際、高品質な物は高く売れます。ただ作るにはそれなりの「人手」と「時間」と「お金」がかかります。これがなかなか理解してもらえません…。とにかく競争が厳しいです。

6自然の中で人と接しないで働けると思っている。

土地を探すにも資材を購入するにも生産物を売るにも人と接しないとできません。普通の仕事と同じだと思いますがどうなんでしょうか。

 

7組合や組織に所属すればどうにかなると思っている

組合に入ってやった方が理想的だと思います。ですが組合に入ればサラリーマンのように安定するわけではありません。あくまでも入った方がいいだけです。農業をやるのは自分だということ忘れないでほしいです。

 

 それでも農家になるには

以上農業を始める前に理解しておいて欲しいことをまとめてみました。今、農業界は大規模な農業法人化が進んでいます。なるべく新規就農する方は最初から一緒にやる人をまとめて農業法人形式でなくてもせめてグループを組んで始めた方がいいと思います。そうすれば上記で書いたような問題はほとんど解決されると思います。山口県の農業を一緒に盛り上げて行きましょう。

物々交換っていいね!

前回の軽トラ市で昔ながらの行商人という感じをにじみ出しているおばあちゃんから物々交換のお誘いがありました。島から月に一回、行商に来るようで由宇トマトが欲しいが高いので物々交換してほしいとのお誘い。当然断る理由もなく喜んで了承させていただきました。由宇トマトが漬物や乾物などに大変身です。このような交流が農業をしていて一番面白いと思います。

自分が沢山持っている物と相手が沢山持っている物の価値がお互いで違うのでwin-winの関係です。これが商売の基本だとおばあちゃんから教わったような気がします。

 

農産物は同じように栽培しても沢山取れる時期と取れない時期では10倍ぐらい収穫量が違います。そのため収穫量の多い時期はどうしても余り物が出てしまいます。余っているなら安く売ればいいと言われることもありますが沢山取れる時は人出もなく売っても赤字なので収穫できないのです。いわゆる豊作貧乏という状態です。

 

余り物を生産者がお互いに物々交換する文化はおそらくお金では解決できない問題を少しづつ解決してくれるきっかけになってくれるのではないでしょうか。

テレビなのでキャベツや白菜が出来過ぎて出荷できないニュースが流れるともったいないと思うかもしれませんがこの問題は収穫量の多いときにどうにかするのではなく収穫量の少ないときに知恵を使う方が解決への近道だと思います。スーパーに一年中同じ物を並べるために過剰生産になっている今の社会構造の限界を畑でいつも感じているとそう思います。

商売とは本来、社会の歪みを解きほぐす整体のようなものだとおばあちゃんから教わったような気がした一日でした。

失敗する農業研修。成功する新規就農。

農業研修と言えば野菜の生産技術を習得する研修を思い浮かべるかと思いますが、農業を始める時に生産技術が問題となることはあまり多くないと思います。本音を言えば野菜の生産に関しては実践するのが一番だと思っています。なぜなら、腕のいい農家ほど自分の圃場の特性を理解して生産しています。さらに違う圃場では微調整していかないといけないことを痛いほど経験していると思います。つまり新しい土地で始める以上最初は失敗してその土地の特徴を自分で見つけていかないといけません。様々な農家に合ってどんどん技術を真似していくしかないのです。農業研修をしている時に新規就農したらこの農法でやるぞーと頑張って習得した技術が自分の土地で通用するかしないかは始めてみないと分かりません。

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新規就農して問題になるのは生産技術とは違うところにあると思います。新規就農者が借りられる土地はいいところは多くありません。親父が最初に借りた土地はとてもいいところでしが自分が借りた土地はなかなか野菜の育たない所で苦労いています。この経験をするまで親父の借りた土地の良さに気づきませんでした。先祖代々の農地を耕している人はこのことに気付いていない人もいます。販売先も既存農家に抑えれているのでなかなか上手くいかないのが現実だと思います。さらに田舎の農家には独特の見えないルールがあるのでそれに慣れるのも難しいです。自分は適用能力が低いのか10年以上やっていますがまだよく分からないところが多いのが本音です。

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つまり生産技術があっても「土地」、「売り先」、「田舎の習慣」などなどの問題があり上手くいかないどころか始めるのも難しいのです。先祖代々の自分の土地を持ち、研修生がいて、補助金や不動産収入があるいわゆる豪農を真似しても上手くいかないのは当たり前です。土地も無く、人もいない、副収入も無い状態で始めるなら自分に合った方法を見つけるしかありません。さらに、昔と違い今は機械の大型化やIT化が進み生活するために必要な農地面積も多くなってきています。昔ながらの農家スタイルや制度では上手いかくなっているところもあると思います。この辺りが既存の農家に研修に行っても新規就農して生活していくのが難しくなってしまう原因だと感じました。勿論、新しいことにどんどんチャレンジしてとても参考になる農家も多いいです。ですので研修先の農家によって感想は全然変わってくると思いますので注意してください。

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ネガティブなことばかり書きました悪いことばかりではなく応援して下さる方々も多く存在します。地主や朝市、ご近所の方々、車屋さん、資材屋さん、行政の人、スタッフさん、凄腕農家、変なおっちゃん、勿論お客さんなど地方をよくしようと協力してくださる方々も多くおられます。新規就農が成功するかしないかはこのような応援して下さる方々がどれだけ周りに多くいるかにかかっています。幸いにも私たちの周りには応援して下さる方々が多くいたため新規就農して10年以上続けることができました。今もYONESATAは多くの方に支えられて存在しています。皆さんも農業研修で沢山失敗して新規就農でドッカーンと成功してください。

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