産業としての農業。オランダと日本との違いは?

オランダの土地が真っ平らで一つの畑が広いのが最初に感じた印象です。国土は狭いのに畑は大きく効率的に出来ています。標高は高いところでも300mぐらいしかありません。オランダ人が自転車好きになるのもうなずけます。オランダ人がスイスに観光に行くと山が多くて景色が見えないというジョークがあるぐらい土地が真っ平らです。

次に気候がとても安定しています。真夏でも涼しく台風も来ない、冬は寒くても雪が積もることは少ない。また地震も少ないので災害が非常に少ないそうです。冬の寒さ対策さえすれば施設園芸にはとても向いている気候だと思います。

オランダは国土が狭く真っ平らで集約的に都市が出来ています。また、近隣にはベルギー、ドイツ、イギリスなど野菜のような輸送時間に影響される物の輸出入に向いているのも大きいと思います。

逆に日本の立地としてのメリットは土地が肥えていることが一番だと感じました。オランダの土は干拓地なので砂浜のような土です。畑に貝殻が混ざっていたので石灰を撒く必要がないのでは無いぐらい砂地です。それに比べると日本の肥えた土はとても大切だとおもいました。また、日本は水も豊富なのがとてもいいところだと思います。

立地以上に感じたのが文化的な違いです。物事をハッキリ伝え、受け取り手もそれをそのまま理解する。日本のように物事を曖昧に表現し受け取り手が空気を読むようなことは無いようです。この違いによってオランダでは行政、種苗業者、肥料業者、農薬メーカー、ハウスメーカー、流通業者などが同じ立場に立って相談しながら一つのチームとして生産に取り組むことが出来るが日本との違う点だと思います。みんなフラットな関係で各々の分野でプロになり一つのチームとして野菜生産のプロになるという考え方浸透しています。このような考え方は新しい技術に取り組むにはとても効率的です。最近では小売業と密に連携してお客の求める物を作ることに力を入れているそうです。パッケージや房ごと収穫、色、糖度、大きさなど新しい販売方法に取り組んでいるそうです。

コスト意識に関してもオランダはものすごく高いと感じました。農業を一つの産業と捉えているのでそうなるのかと思います。一か所にハウスを集約して大生産地を作りそこに資材の搬入、生産、市場、流通までをノンストップでできるように国全体で設計されています。また、輸出の拠点になる港や空港が30分前後でアクセスできるようになっています。根底には皆でどうやったハッピーになれるかを徹底的に考えているのからだと思います。

日本は国の下に農協がありその下に農家がいるようなピラミット型になっています。農家は生産のプロであると自他ともに思っているのではないでしょうか、農家は職人であることに誇りを持っていると思います。この考え方だと新しい生産技術に対応するのに非効率でコストもかかります。しかし、生産の全体を把握しているのでお客さんが求める要望に細かく対応できる点においてとても優れていると思います。日本はおもてなしの文化があり空気を読む文化があります。お客さんの求めている物を作るという点では日本の生産方法が勝っていると思います。

 

決定的な違いはオランダの場合「全てを理解し出来る人はいない。色々な分野の人と協力して野菜を生産する」、日本の場合「農家は野菜の生産のプロでないといけない」のこの感覚の違いだと思います。日本でもフラットな関係でそれぞれの分野のプロが協力しながら生産に取り組む姿勢は時間がかかっても取り入れていくべきでしょう。

農業をしているといつも疑問に思うことがあります。農業の仕事とは何かと。日本でも農家の仕事が農作業ではなくなりつつあります。新しい販路の拡大や新商品の開発、宣伝など今まで通業界や小売業、加工業などがしていたことも農家の仕事になってきているように感じています。農家の仕事が手広くなっていっているのは間違いないと思います。百姓と言われるように農家は百個の仕事をすると言われていますが今は千姓にでもなったようです。

日本では農家が生産から手を広げて色々やりますがオランダでは他の業界の人を生産に招き入れて色々やるのが農家の一番の仕事になっていると感じました。一人で出来る事には限界があります。協力できる仲間を増やして農家は生産をしっかりやって皆でハッピーになるのが理想だと思います。

 

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